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2018年11月15日

【てら先生コラム】第9回:入試過去問題演習

教育業界に携わり30余年の「てら先生」による月1コラム。
今月は『入試過去問題演習』ついてお届けします。

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◇志望校の入試過去問題を解くことでわかること

 

 11月の半ばにもなりましたので、受験する学校の入試過去問題演習を始めている子どもも少なくないと思います。一般に入学試験問題は出題する学校によって、問題の形式や出題頻出分野が異なります。マーク式か記述式か、試験時間に対する問題量はどうか、基本問題中心か応用問題中心か、論述問題や計算問題は出るのか、何点くらい得点できれば合格ラインに届くのか、これらは学校によって違いますので、取るべき対策も受験校によって違ってくるのです。

 

 このため、入試過去問題を演習しておくことが重要になってくるのです。入試過去問題演習をすることで、各学校の入学試験問題の傾向を知り、自分の現時点での得点と、その学校の合格点とのギャップを知ることができます。そして、そのギャップの原因が何で、ギャップをどのような形で埋めるのか、どうすれば最短で確実に届くかを検討し、受験に向けた学習の指針とすることができます。

◇入試過去問題を解いてから誤答分析をする

 

 合格ラインの得点と現在の得点の差を縮めていくためには、現在得点できなかった問題を得点できるようにしなければなりません。そこで、「何故この問題を得点できなかったのか」という原因を分析して、改善策を考えていくことが必要になってきます。

 

 例えば、

「えーっと、どうやって解くのだった?」という原因で誤答に至った場合は、その問題への理解力が課題。

「普段は覚えているのに、入試過去問題を解いている時には思い出せなかった」ならば定着力が課題。

「分かっているのに!解けなかった」というような場合は活用力に課題があるでしょう。

「あと5分あれば解けたのに時間が足りなかった」ということであれば、解答速度などの時間管理力に課題があり、「前半に出てきた難しい問題に手こずってしまい最後に得意な問題が出ていた事に気付かず解けなかった」という場合には問題を解く順を見極める問題判別力に課題があるでしょう。

また、時間内に問題の正解を出す力があっても、マークミスしていれば、答案作成力に課題があるといえましょう。

 このように、得点できなかった原因とその課題は様々です。だからこそ、なぜ間違えたのか原因を分析して、課題をみつけ、優先順位をつけて必要な対策をとっていくことで、「あと何点」を上乗せすることができるのです。

 

 ところが、第1志望校の入試過去問題は大事にとっておいて入試直前まで手をつけない子どももいるようです。

そのような子どもは

「今、入試過去問題を解いてもまだ、出題範囲の学習が終わっていないので、合格点には届かないと思うから」

「合格最低点以上を得点できなかったらショックで受験勉強をやる気がなくなってしまうから」

「入試過去問題を解くことで最終的な合格可能性を測りたいので、受験に向けた準備が終わるまで手を付けたくない」

という理由を挙げることが多いように思います。

◇入試過去問題演習は、時間がかかる

 

 しかし、入試過去問題演習を入試1ヶ月前からスタートすると、第1志望校の5年間の入試過去問題を解いた状態だけで、時間切れになってしまうこともあります。それでは、入試過去問題解くことで見つかった「受験生それぞれが得点を上げる対策」を行う時間が、足りなくなってしまう場合があるのです。

 

 例えば、1教科の制限時間が60分3科目の入試過去問題の演習を行う場合を考えてみましょう。

1校1年分を1回解くと1時間×3科目=3時間かかります。それを3校5年分取り組むと15時間×3校=45時間。これを3回反復すると入試過去問題題を解くだけで135時間かかります。135時間を30日間で行うには1日あたり4時間半を入試過去問題演習に割かなければならなくなります。

 

 大学受験に向けての学習でも1日に4時間半集中して勉強するだけで、精一杯の子どももいます。しかし、問題を解きっぱなしでは、何のために入試過去問題演習を行ったのかわからなくなります。入試直前の時点で得点を上げる方法がわかっても得点を上げるための学習をしなければ、合格できる力がありながら不合格になることも出てきてしまいます。志望校の入試過去問題を演習して合格点まで引き上げる学習は、苦手分野の学習や過去に学習した内容の復習と並行して行うことになるので、費やせる時間は意外に少ないのです。得点を上げるのに必要な学習時間も考慮して、入試過去問題演習は計画的に行う必要があるのです。入試日から逆算し、得点を上げるのに必要な学習時間も考慮しながら過去問題演習のスケジュールを立てて、抜けもれなく実施できるかどうかによって、入試本番までに「あと何点上乗せできるか」が左右されると言って良いでしょう。

◇志望校の入試過去問題を解く目的は何か

 

 志望校の入試過去問題を解く目的は、子どもの実力やその学校の合格の可能性を測定するためではありません。子どもがその学校の合格点を上回れるようにするには、何をどうしたらよいかの方策を立てるためと言って良いでしょう。

 そもそも、受験学年の11月の時点で第1志望校の合格点まで届く学力のある生徒は多くはないのです。入試過去問題を解いて、答え合わせをして、合格点との差異を出すことではなく、答え合わせ後に合格点との差異をうめる対策学習をすることこそが大切なのです。入試過去問題は「キミはこれが解けるようになったら我が校に合格できるよ」という学校からのメッセージです。受験を控えた子どもには、入試過去問題を解いて出た現在の得点に一喜一憂することなく、合格するために必要な学習を積み重ねてもらいたいと願っています。

◇保護者の役割は何か

 

 それでは、受験生の保護者は何に気を付ければよいのでしょうか。

11月下旬段階で、子どもが入試過去問題を解き始めていないようであれば、何らかの事情があるかもしれません。学校や塾の先生に、いつから開始する予定なのか問い合わせしてみると良いでしょう。

 

 また、入試過去問題を解いた後で答え合わせをしているのか、間違えた問題をやり直しているのかどうかをさり気なく子どもに聞いてみましょう。

 

 保護者にとっては、解いた問題の答え合わせをしたり、間違えた問題をやり直したりするのは当たり前だと思われるでしょうが、問題を解いた後で答え合わせをする生徒は71.2%(28.8%は答え合わせをしていないということになります)、テストで間違えた問題のやり直しをしている生徒は半数以下の44.4%であるという調査結果*¹もあるのです。「過去問題を真剣に解いて疲れたでしょう。まずはひと休みして。答え合わせが終わってからが、あなたに本当に必要な勉強が始まるそうよ。できなかったところがあるということは、さらに得点を伸ばせるところがあるということだから、これから頑張ればいいのよ」といったように、前向きな声かけをお願したいと思います。

 

 

*¹ ベネッセ第2回子ども生活実態基本調査報告書 

  https://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/kodomoseikatu_data/2009/pdf/data_09.pdf

 

~【てら先生】プロフィール~

教育業界に携わり30余年。
何千人もの子どもたち・保護者に学習・進路相談を行う。
現在は株式会社東京個別指導学院 進路指導センター 個別指導総合研究所にて同学院のブレインとして活動。
文部科学省・各学校に足を運び、様々な情報を収集し教室現場への発信・教育を行っている。