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2019年02月01日

【教育改革】第12回:続『大学入学共通テスト試行調査』

教育改革とその影響に関して、弊社個別指導総合研究所から継続的に情報を発信していきます。
第12回目は続『大学入学共通テスト試行調査』についてお届けします。

◇2018年11月実施の試行調査結果の速報値が発表された。

 

本コラムの第10回にて、2018年11月10日と11日に実施された『大学入学共通テスト試行調査』について、ご紹介しました。*¹

 この試行調査の受検者平均点や正答率等が2018年12月27日に発表されました。*² 今回は、この発表内容から見えてくる点についてご紹介したいと思います。

「センター試験志願者数・受験者数・平均点の推移」(大学入試センター)を元に東京個別指導学院が作成

◇英語筆記の平均得点率は51.25点。大学入試センター試験より難しい。

 

 この試行調査の英語筆記の受検者数は全国で12990人、このうち高校3年生の受検者は10623人。全体の平均点は、100点満点で51.25点(平均得点率51.25%)、高校3年生の受検者平均点は51.15点(平均得点率51.15%)でした。*³ 

 

 今回の試行調査問題は、「平均得点率(平均正答率)については、5割程度として実施し検証する予定」*⁴ でしたので、今回の平均得点率は、大学入試センターの狙い通りの結果となったと言えます。

とはいえ、2018年1月実施の大学入試センター本試験の英語筆記の受検者平均点は200点満点で123.75点(平均得点率61.87%)、過去15年間の平均得点率は60.81%*⁵ で、ほぼ60%前後で安定していましたから、大学入試センター試験よりも平均点が下がっていることがわかります。

◇様々な種類の英文を素早く読むことが求められた。

 

 今回、各設問別に正答率が発表されましたので、その内容をみてみましょう。今回の試行調査問題では、英語筆記においては発音・アクセント問題や文法・語法問題は出題されず、全て読解問題となり、様々な英文素材が扱われました。

 

 大問別に正答率を調べてみますと大問1が76.2%、大問2が64.6%、大問3が69.0%、大問4が47.2%、大問5が22.5%、大問6が41.1%と概ね後半のほうが正答率が下降しています。時間不足で解答できなかった受検生もいると考えられ、英文を素早く読み、解答していく力が必要であるということがわかります。

◇平均点を超えるには正答率50%以上の問題の正解が必要。

 

 また、正答率別に出題問題数の構成を調べてみると、正答率50%台の問題数が9問(構成比24%)と最も多く、以下正答率40%台と80%以上の問題数が各6問(問題数構成比16%),正答率60%台(問題数構成比11%)と続いています。

正答率70%以上の問題は9問(問題数構成比24%)、正答率40%未満の問題は6問(問題数構成比22%)と拮抗していますが、正答率70%以上の問題は得点構成比が18%であるのに対し、正答率40%未満の問題は得点構成比が30%を占め、正答率の低い問題の方が配点の大きい問題が多いことがわかります。

今回の試行調査問題の英語筆記問題では1問5点の問題が4問出題されましたが、そのうち3問は正答率30%未満でした。

*⁶「各教科・科目等の問題のねらい,主に問いたい資質・能力,小問の概要及び設問ごとの正答率等」(大学入試センター)をもとに東京個別指導学院が作成

今回の試行調査問題では、正答率が50%以上の問題を全て正解すると52点となり、平均得点51.25点を超えることができます。

「各教科・科目等の問題のねらい,主に問いたい資質・能力,小問の概要及び設問ごとの正答率等」(大学入試センター)をもとに東京個別指導学院が作成

◇平均点を超えるには英検2級以上の英語力が最低限必要。

 

 では、正答率50%以上の問題、50%未満の問題とはどのようなレベルを念頭におくと良いのでしょうか。

今回の試行調査問題結果では、設問ごとにCEFR*⁷ という「どれくらいの語学力があるのか、共通して測る物差し」が示されていますので、そこに注目してみたいと思います。

試行調査問題の出題はCEFR A1(英検でいうと3級レベル),A2(英検でいうと準2級レベル),B1(英検でいうと2級レベル)からとなっており、出題はA1が18点分、A2が22点分、B1が60点分出題されています。このCEFRレベル別の設問の平均正答率をみると、A1が72.8%、A2が65.1%、B1が38.5%となっています。

「各教科・科目等の問題のねらい,主に問いたい資質・能力,小問の概要及び設問ごとの正答率等」(大学入試センター)をもとに東京個別指導学院が作成

これを、設問別に先にあげた表のように正答率順に並べ替えてみると、右図グラフのようになります。

棒グラフの青がCEFR A2、黄色がA1レベル、赤がB1レベルです。そうすると全体的にはCEFR B1レベルの問題の正答率が低く、A1レベルの問題の正答率が高いことがわかります。また、平均得点51.25点を超えるには、CEFR B1レベルの問題が正解できるようになる必要があることもわかります。

「各教科・科目等の問題のねらい,主に問いたい資質・能力,小問の概要及び設問ごとの正答率等」(大学入試センター)をもとに東京個別指導学院が作成

 実は、リスニングの試行調査での平均得点率は59.10点でした。リスニングの問題でも同じようにみてみると、平均得点率を超えるには、やはりCEFR B1レベルの問題が正解できるようになる必要があることもわかります。

◇英語学習の前倒しが必要になる。

 

 以前、本コラムでも触れたことがありますが、入学試験問題は出題する学校からの受験生への「このような力がある受験生に入学して欲しい」「だから、このような準備をしてきて欲しい」というメッセージだと思います。今回の試行調査問題は大学入試センターからのメッセージではないでしょうか。*⁸ 

 

 試行調査問題の結果から、どのような準備をしておいたら良いでしょうか。英語筆記問題では全て読解問題になりましたので、様々な種類の英文に慣れ、素早く英文を読み、重要な部分を見つけ出したり大意を理解したりする力が必要でしょう。

 また、文法問題は出題されませんでしたが、英文を読む際や選択肢を選ぶ際に文法の力は必要です。そして、平均点以上をとるにはCEFR B1以上の問題が解けるようになること、つまり、英検でいえば2級以上。高得点をとるためにはそれ以上の英語力が必要になってくるでしょう。

 

 そうすると、保護者の時代の英語学習よりも前倒しした学習が必要になってくるでしょう。しかも、大学入学共通テストを受けることになる2018年度の高校2年生以下の生徒は、英語資格・検定試験結果を利用した英語の4技能を総合的に評価する入試が始まります。

 以前本コラムでご紹介した通り*⁹ 高校3年生の4月から12月の2回までの英語資格・検定試験結果を活用する入試が始まりますので、保護者の大学受験時代では高3の1月の大学入試センター試験までに英語の受験準備を仕上げるのではなく、高3の4月前までに英語の学習を進めておかねければならないのです。

◇新テスト初年度受験生となる2018年度の高1生(2019年度の高2生)が出来ることは何か。

 

 今回の大学入学共通テスト導入に向けた試行調査は、実施された全科目の問題と正答、記述式問題の正答率を除くマークシート方式の問題の設問別正答率(英語に関しては設問別CEFRレベルも含めて)が公開されています。*¹⁰  2018年度の高校1年生は、大学入学共通テストを受験する最初の学年となります。

 今回の試行調査問題を解いてみて、現時点では何点がとれるのか、正答率何%の問題が得点できるのか、CEFRでどの段階の問題が得点できるのか調べてみると、今後に必要な学習の内容が見つかるのではないでしょうか。

学校や塾の先生に解いてみた結果を添えて相談してみると助言が得られると思います。

 

 また、先に触れました通り、平均点以上をとるにはCEFR B1以上の問題が解けるようになること、つまり、英検でいえば2級以上が必要になってきます。そして英語資格・検定試験結果も利用した大学入試が始まりますので、2018年度の高校1年生は、高校2年生の間に英検であれば2級以上(CEFR B1以上)の取得を目指して学習を始めることも有効です。

◇保護者のできることは何か。

 

 そのような入試環境の変化については、敏感に反応している高校もあれば、のんびりしている高校もあるようです。

2019年からは、2021年度入学者選抜試験に関するニュースが数多く流れることが予想されます。これまで決定していなかった事項が決まったり、細部の変更が生じたりすることが出てくるでしょう。既にネットにある教育制度改革に関する記事の中にも古い情報のものも目についてきました。

 

 保護者の皆様ができることとしては、新しい正確な情報を収集しておくことや、学校の先生や塾の先生など信頼できる相談相手を探しておくことではないでしょうか。東京個別指導学院では、今後もこのページで正確な情報を発信してまいります。

 

 

 

*¹ 2018年12月03日【教育改革】第10回:『大学入学共通テスト試行調査』

https://www.tkg-jp.com/pickup/detail.html?id=2057

 

*² 大学入試センター 大学入学共通テストの導入に向けた平成30年度試行調査(プレテスト)マーク式問題に関する実施状況(速報)について

https://www.dnc.ac.jp/news/20181227-01.html

 

*³ 大学入学共通テストの導入に向けた平成30年度試行調査(プレテスト)マーク式問題に関する実施状況(速報) (大学入試センター)

 

*⁴ 大学入試センター 「大学入学共通テスト」における問題作成の方向性等と本年11月に実施する試行調査(プレテスト)の趣旨について 2018年6月18日

 

*⁵ センター試験志願者数・受験者数・平均点の推移 大学入試センター

https://www.dnc.ac.jp/center/suii/index.html

 

*⁶ 各教科・科目等の問題のねらい,主に問いたい資質・能力,小問の概要及び設問ごとの正答率等  大学入試センター

https://bit.ly/2sKJA3r

 

*⁷ CEFRとは「Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment:外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠)」のことです。

文部科学省 大学入試英語成績提供システムへの参加要件を満たしている資格・検定試験とCEFRとの対照表について http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/03/1402610.htm

 

*⁸ 【教育改革】第9回:「大学入試改革と中学入試」 前編

https://www.tkg-jp.com/pickup/detail.html?id=1983

 

*⁹ 第3回:大学入試制度改革の大きな柱は英語4技能評価(2018年5月1日)

https://www.tkg-jp.com/pickup/detail.html?id=397

 

 

*¹⁰ 平成30年度実施試行調査問題と正答・正答率は以下

https://www.dnc.ac.jp/daigakunyugakukibousyagakuryokuhyoka_test/pre-test_h30_1111.html