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2019年07月01日

2030年までに達成すべき開発目標「SDGs」とは? 持続可能な未来を目指して

2015年9月に開催された国連のサミットで、SDGsという国際社会共通の目標が定められました。これは世界全体における気候変動や経済的な不平等といった問題を解決する、持続可能な開発目標です。持続可能な社会とはどのようなものか、そしてこの目標を達成するために何が必要なのかを説明します。

SDGsの達成により目指す持続可能な社会とは

SDGsとは何か、そして目指す持続可能な社会とは何かについて説明します。

 

・SDGsは2030年までに達成すべき開発目標

 

SDGsは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称です。2015年9月にニューヨークの国連本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」において、193の加盟国により採択されました。

 

ここで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を掲げ、国際社会が2030年までに貧困をなくして持続可能な社会を実現するために、17の目標と169のターゲットが設定されました。

 

また、このアジェンダでは「誰一人取り残さない-No one will be left behind」を理念とし、国際社会においてあらゆるステークホルダーが連携することが求められています。(※1)

 

・持続可能な社会は「環境」「経済」「社会」のバランスがとれたもの

 

外務省「持続可能な開発とは」によると、持続可能な開発とは「将来の世代の欲求を満たしつつ,現在の世代の欲求も満足させるような開発」のことを言います。(※2)

 

 

持続可能な開発により、「地球環境や自然環境が適切に保全され、将来の世代が必要とするものを損なうことなく、現在の世代の要求を満たすような対応がされている社会」を目指すことになります。この持続可能な社会を実現するためには、「環境」「経済」「社会」のバランスを取って環境保全と経済成長、そして途上国の貧困や教育といった社会的側面を充実させることが必要と考えられています。

 

・SDGs17の目標

 

1.貧困をなくそう

2.飢餓をゼロに

3.すべての人に健康と福祉を

4.質の高い教育をみんなに

5.ジェンダー平等を実現しよう

6.安全な水とトイレを世界中に

7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに

8.働きがいも経済成長も

9.産業と技術革新の基盤をつくろう

10.人や国の不平等をなくそう

11.住み続けられるまちづくりを

12.つくる責任 つかう責任

13.気候変動に具体的な対策を

14.海の豊かさを守ろう

15.陸の豊かさも守ろう

16.平和と公正をすべての人に

17.パートナーシップで目標を達成しよう

SDGsが策定された背景とその内容、そして世界で取り組むべき理由とは

SDGsはどのようにして策定されたのか、そしてその内容について説明します。

 

・はじまりは1972年のストックホルム宣言

 

1960年代から1970年代にかけて、経済成長を続ける先進国での地域的な公害と、開発途上国における貧困が問題になっていました。そこで1972年にストックホルム宣言において、経済や社会の発展には環境保全が重要ではないかとされました。

 

しかしその後も、先進国が経済活動を拡大させる一方で、開発途上国では貧困問題が続きました。そこで限られた資源の枯渇も含め、持続可能とはいえない開発が優先されていることを憂慮する認識が広められました。

 

・持続可能な開発の必要性が認識される

 

1987年に国連に設置された「環境と開発に関する世界委員会」が「持続可能な開発」という概念を提唱しました。

 

そして1992年にはブラジルでの国連会議で持続可能な開発を実現するための行動原則となる「環境と開発に関するリオ宣言」と具体的な行動計画「アジェンダ21」が採択されるよう進められました。

 

さらに2000年9月には、ニューヨークでの国連ミレニアム・サミットで「国連ミレニアム宣言」が採択され、国連社会共通の目標としてミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)がまとめられます。

 

これは極度の貧困や飢餓を撲滅するための2015年までに達成すべき8つの目標です。しかしこのMDGsは一定の成果を上げましたが、格差問題が残りました。

 

・MDGsからSDGsへ

 

そこで立場の弱い人びとが国内で取り残されないことも重視し、2030アジェンダでSDGsによる17の目標を掲げるようになったのです。

 

MDGsでは貧困・初等教育・保健分野といった人間開発分野の目標が集まっています。しかし2010年代には貧困問題のほかに、気候変動やエネルギー問題、国内格差など様々な問題が現れてきました。

 

MDGsでは環境に関係する目標が1つしかなかったので、SDGsでは環境にかかわる目標が強化されていきます。さらに、ひとつの目標が独立するものではなく、環境にかかわるように設定されることにもなります。

 

つまりSDGsは17の目標を通して、環境・社会・経済が不可分なものであるとの認識を高めるものとなっているのです。

 

・SDGsに世界各国が取り組む理由

 

SDGsはステークホルダーと連携して推進するように、2030アジェンダで求めています。しかしSDGsは努力目標であって、法的拘束力があるわけではありません。

 

それでも世界中の民間企業が取り組んでいることには理由があるのでしょう。まず企業には環境・社会・ガバナンスを重視した持続的発展が求められます。その理由は、たとえば自然エネルギーを取り入れない企業は、天然資源の枯渇により衰退する可能性があるといったようなことです。(※3)

 

さらにSDGsの達成に関連する法案を制定した国が出てくれば、日本の企業であってもその国の企業のサプライチェーンであれば影響を受けることになりかねません。

 

そのため各国は単独ではなく、連携する形でSDGsに取り組む必要があります。

SDGsの達成度と今後の展望

SDGsの実施責任は各国政府にあります。そこでその進捗状況の審査を行うグローバルな拠点として、「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)」が設けられています。そしてHLPFでは毎年7月にSDGsの進捗状況のレビューが行われています。

 

国連は2018年6月に「持続可能な開発目標報告2018」を発表しました。このSDGsの実施3年目時点での進捗状況によると、2030アジェンダの目標達成は難しいとのことです。そのため各国とステークホルダーが、あらゆるレベルで行動を加速することが必要とされています。

 

民間組織でもSDGsの各国の達成度を発表していますが、156ヵ国中15位の日本は目標4の質の高い教育は達成度のスコアが高く、このペースであれば達成可能となっています(※4)。かわりに目標13の気候変動に具体的な対策には課題があり、環境省の環境白書によると、さらなる取り組みが必要のようです。(※5)

 

このように、国ごとにどの目標を重視すればよいのかがわかりますし、HLPF(ハイレベル政治フォーラム)を通してどのように取り組めばよいのかもわかるようになっているようです。

 

SDGsは持続可能な社会を実現するために必要な17の目標です。貧困や飢餓、環境問題や格差問題などを統括的に解決することを目標としています。毎年のレビューやHLPFでの意見交換などで、達成度の低い目標はどのように取り組めばよいのかもわかるようになっています。現状では2030年の目標達成に向けて、国や企業などがさらに連携して取り組む必要があると考えられます。

 

 

※1 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/000270935.pdf

 

※2 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html

 

※3 朝日新聞「SDGsで変える」の小見出し「SDGsの選択肢としての自然エネルギー導入」以降
https://miraimedia.asahi.com/renewable_energyinstitute/

 

※4 サステナブル・ブランド ジャパンのサイトより
http://www.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/1193050_1501.html

 

※5 環境省の環境白書
https://www.env.go.jp/policy/SDGsguide-gaiyou.rev.pdf

 

 

(その他の参考資料)
■SDGsとは?(参照:外務省HP)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html