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2019年09月04日

注目の「リカレント教育」を解説! 人生100年時代を見据えた生涯学習の重要性とテクノロジーの関係

高齢化社会が進展するにつれて、今後の日本は人生100年時代に突入するとも言われています。そのなかで健康的に長生きの人が増えてくると、可能な限り長く仕事を続けたい、そして仕事以外でも自分の人生を充足させたい、という社会的な欲求が高まってきています。
そこで今注目されているのが、欧米ではすでに社会に浸透している「リカレント教育」です。この「リカレント教育」を本格的に日本の社会に導入するため、文部科学省による施策をもとにして、大学などを中心に新しい動きが始まっています。

今注目される「リカレント教育」とは?

 「リカレント教育」とは、通常の学校教育を終えて就労した人々が、再び教育機関で専門的な知識を学びながら、それを職場でのキャリアアップに活かすという制度です。

この仕組みは基本的にフルタイムの就学と、フルタイムの就職とを交互に繰り返しながら、職場でのスキルアップを目指すというシステムです。(※1)

 

 「リカレント教育」発祥の地がスウェーデンだったこともあり、現在欧米では社会的に広く受け入れられていますが、これはアメリカやヨーロッパでの仕事に対する意識によるところが大きいと言えるでしょう。

(※2)

 

 しかし職場における風土が欧米と全く違う日本において、欧米発祥の「リカレント教育」をそのまま導入することは、無理とは言えないまでもかなり難しいと考えられます。

そこで日本での「リカレント教育」は欧米のシステムとは形を変えて、むしろ「生涯学習」という視点から独自の動きを見せています。(※1)

 

 日本での「リカレント教育」は、主に文部科学省が主導する形で推進されています。具体的には文部科学省が立案した施策に対して、大学などの教育機関が柔軟に対応することで進められます。ここでその主な施策の実例を挙げておきましょう。(※1)

 

(1) 社会人特別選抜
(2) 編入学
(3) 夜間部・昼夜開講制
(4) 科目等履修生
(5) 聴講生・研究生
(6) 通信教育
(7) リカレント教育推進事業
(8) 大学の公開講座
(9) 大学入学資格検定制度

 

実際に日本国内で、これらの施策がどのように実施されているのか、次にその具体例を紹介します。

国内でも広がりを見せる「リカレント教育」

 日本では現在、終身雇用制度や長期雇用が常識的な職場環境であり、「リカレント教育」の推進が課題となっているようです。高等教育機関における社会人の就学割合も、日本では欧米と比較して非常に低いレベルにとどまっています。(※4)

 そこで日本では「リカレント教育」をむしろ「生涯学習」という観点でとらえ直すことで、日本の社会や職場環境に合ったシステムに作り替えながら、一般社会への導入を図っているようです。

 

 現在日本で行われている主な「リカレント教育」は、平日はフルタイムで仕事をこなしながら、土日に大学や大学院で学び直すという日本独自のカリキュラムです。

また、民間企業でもこの分野に進出するケースが増えつつあり、オンラインでの各種教育サービスを充実させることで、フルタイムでの就労形態を崩すことなく、必要なスキルを身に付けられる教育環境が徐々に整ってきているようです。

 

 ここで改めて現在日本の国内で、政府や教育機関、そして企業の間で「リカレント教育」に関するどのような取り組みが進んでいるのかを確認しておきましょう。

 

 文部科学省では高等教育機関に対して、「リカレント教育」の普及に向けた施策を提案しながら、大学や大学院での教育機会の拡大を促進しています。

また厚生労働省では、「専門実践教育訓練給付」を拡充して、給付金の給付率や上限額の引き上げなどを積極的に行っています。これは「リカレント教育」を受ける人に対して、国が学費の一部を援助する制度です。(※5)

 

 

 そうした動きに対して、各大学では「社会人特別選抜」で社会人の就学機会を増やしたり、通信教育の内容を充実させたりするなどして社会のニーズに応えようとしています。(※6)

また民間企業でも、オンライン動画学習サービスなど、今までには見られなかった新しい形の教育関連事業が育ち始まっています。(※7)

 

 しかし日本での「リカレント教育」には、まだまだ多くの課題があります。一つは質の良いリカレント教育を提供する場がどのくらいあるのかということ、もう一つは実際にフルタイムで働きながら高等教育を受ける社会人の割合が、欧米に比べて依然としてかなり少ないことです。(※8)

 

こうした課題をクリアしながら、今後の日本での「リカレント教育」は、どのような未来像を描いてゆくのでしょうか。

人生100年時代と「リカレント教育」の未来像

 今後は日本でも、働き手の側からは収入の増加というメリットから、そして企業側では従業員のスキルアップによる経営力強化というメリットから、「リカレント教育」は広がりを見せると考えられます。

 

 現在日本では、インターネットとAIやビッグデータなどのテクノロジーを融合させた、新しい社会への変革が進められています。

今後はこれらの技術を教育現場にも導入することで、直接教育機関には通わずに、さまざまなアプリケーションを使って、場所や時間にしばられることなく手元で受講できるような、日本独自の「リカレント教育」が広がりを見せるでしょう。(※3)

 

 国内企業にとっても、今後のグローバル化やITの進歩などを考慮すると、先端的な知識を習得した社員が増えることは、経営力をアップするためには必要不可欠な条件になるでしょう。

そのため日本での「リカレント教育」は、現在の職務に直接関係する知識の習得や、今後必要とされる先端的な技術的知識の習得を中心に進展すると考えられます。

 

 また、人生100年時代を生きるにあたって、仕事をリタイヤした後で新たな知識を習得する場としても、「リカレント教育」の重要性はますます高まることが予想されます。

同時に、現在も実施されている「リカレント教育」支援環境の拡充も、より高いレベルで整備されることが必要になるでしょう。(※1)

 

 

 

まとめ

 

 少子高齢化・グローバル化・ITの進化など、今後の日本社会の構造的変化を考えると、新たなテクノロジーと「リカレント教育」との融合は、社会的に必要不可欠な課題の一つと言ってもよいでしょう。

 

 これからの日本を支える人材を育てるためにも、人生100年時代をより豊かにするためにも、「リカレント教育」が果たすべき役割はさらに広がりそうです。

私たちも自分の人生を充実させるために、もっと積極的に「リカレント教育」と関わってゆくべきでしょう。

 

 ヨーロッバで生まれた「リカレント教育」は、風土の違う日本で独自の進化をとげながら、新しい「リカレント教育」として今後の日本で根付いてゆくのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

<参考資料>

 

(※1)「生涯学習時代に向けた大学改革-高等教育へのアクセスの拡大-」文部科学省

http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpad199501/hpad199501_2_093.html

 

(※2)「スウェーデンにおけるリカレント教育提唱の背景と目的」京都大学

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/187163/1/sse_001_067.pdf

 

(※3)「リカレント教育とは?人生100年時代に重要な生涯学習」Education Career

https://education-career.jp/magazine/data-report/2019/about-recurrent-education/

 

(※4)「社会人の学び直しに関する現状等について」文部科学省

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/12/01/1379805_08.pdf

 

(※5)「厚生労働省におけるリカレント教育の充実等に関する取り組み」(資料9)文部科学省

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2017/12/19/1399599_12.pdf

 

(※6)社会に開かれた大学・大学院展実行委員会

http://www.daigakuten.com/

「大学通信教育ガイド」

https://www.landmark-c.com/?yclid=YSS.1000000480.EAIaIQobChMI9eSh3ZHA4wIVFK6WCh22cANtEAAYASAAEgIJ4fD_BwE

 

(※7)「リカレント教育とは何か?」ビジネス+IT

https://www.sbbit.jp/article/cont1/34852

 

(※8)「リカレント教育の拡充に向けて」文部科学省専門教育課

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/043/siryo/__icsFiles/afieldfile/2018/08/03/1407795_2.pdf

 

政府も推進の「リカレント教育」って何? プレジデントWOMAN

https://president.jp/articles/-/25466