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2019年07月31日

「生きる力」とは何か? 新学習指導要領に見るアクティブラーニングの重要性

グローバル化が進み、変化が激しい現代では、これまでと同じような学習の仕方では時代の変化についていくことが難しくなると言われています。そうしたなかで文部科学省では「生きる力」を新しく定義し、「生きる力」を育てることを新学習指導要領で明記しています。特に「主体的な学び」を実現するためにアクティブラーニングが重視されています。今後も新学習指導要領で重視される「生きる力」とその力を育てるために必要なアクティブラーニングについてみていきましょう。

「生きる力」とは何か

「生きる力」はこれまでも子どもたちにとって大切な力でした。しかし、急激な環境の変化のために、これからは学校を卒業した後にもその学びが生かせるように学習指導要領が改定されています。

文部科学省は「生きる力」を身につけるために次の三つの力をバランスよく育むとしています(※1)。

 

1)学びに向かう人間性等

学びに向かう人間性とは「主体的に学習に取り組む態度も含めた学びに向かう力や、自己の感情や行動を統制する能力、自らの思考の過程等を客観的に捉える力など、いわゆる「メタ認知」に関するもの」だとしています。また「多様性を尊重する態度と互いのよさを生かして協働する力、持続可能な社会づくり

に向けた態度、リーダーシップやチームワーク、感性、優しさや思いやりなど、人間性などに関するもの」も重要な要素としています。

 

2)知識・技能

知識に関しては「基礎的・基本的な知識を着実に習得しながら、既存の知識と関連付けたり組み合わせたりしていくことにより、学習内容(特に主要な概念に関するもの)の深い理解と、個別の知識の定着を図るとともに、社会における様々な場面で活用できる概念としていくことが重要」としています。技能については「一定の手順や段階を追って身に付く個別の技能のみならず、獲得した個別の技能が自分の経験や他の技能と関連付けられ、変化する状況や課題に応じて主体的に活用できる技能として習熟・熟達していくということが重要」だと規定しています。

 

3)思考力・判断力・表現力等

思考力・判断力・表現力には「物事の中から問題を見いだし、その問題を定義し解決の方向性を決定し、解決方法を探して計画を立て、結果を予測しながら実行し、振り返って次の問題発見・解決につなげていく過程」、「精査した情報を基に自分の考えを形成し、文章や発話によって表現したり、目的や場面、状況等に応じて互いの考えを適切に伝え合い、多様な考えを理解したり、集団としての考えを形成したりしていく過程」、「思いや考えを基に構想し、意味や価値を創造していく過程」の三つがあります。これら三つの過程をうまく組み合わせる能力が必要だと言われています。

アクティブラーニングとはどのようなものか

そもそもアクティブラーニングとはどのようなものなのでしょうか。文部科学省の用語集によれば「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る」と説明しています(※2)。これまで行われていた講義形式の授業ではなく、学修者が自ら学ぶことで、これまでよりも学習効果が上がると言われています。

また新学習指導要領では、アクティブラーニングを「主体的・対話的で深い学び」と定義しています。アクティブラーニングは「何を学ぶか」だけでなく、「どのように学ぶか」も重視する授業スタイルだと言われています。文部科学省はアクティブラーニングを取り入れて授業改善をすることで、「生きる力」が育まれるとしています(※3)。

アクティブラーニングで授業はどう変わるか

文部科学省の説明ではアクティブラーニングを使った授業改善イメージを以下のようにまとめています。アクティブラーニングを用いることで、以下のように授業を改善できると考えていると言えます(※4)。

 

・主体的に学ぶことで、学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげることができているか

 

・対話的な学びによって子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えることなどを通じ、自己の考えを広げ深めることができているか

 

・深い学びによって習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かうことができているか

 

ただし、アクティブラーニングに関しては「学習活動を子どもの自主性のみに委ね、学習成果につながらない「活動あって学びなし」と批判される授業に陥ったり、特定の教育方法にこだわるあまり、指導の型をなぞるだけで意味のある学びにつながらない授業になってしまったりという恐れも指摘されている」(※5)ため、「深い学び」を実現するための授業改善を行っていく必要があるとされています。

 

 

(まとめ)

新学習指導要領では「生きる力」が新しく定義され、その力を育むためにアクティブラーニングが重要であるとしています。アクティブラーニングは「主体的・対話的で深い学び」を実現する手段です。ただし、形だけ導入するだけではアクティブラーニングの効果は十分ではないと言われています。今後、アクティブラーニングの効果を最大化するために、さらなる授業改善が必要になってくると考えられます。どのような形の授業が良いか、今後の議論を見守っていく必要があるでしょう。

 

 

参考

※1「主体的・対話的で深い学び」が求められる背景

https://www.tochigi-edu.ed.jp/center/cyosa/cyosakenkyu/h29_jyugyokaizen/pdf/h29_jyugyokaizen_01-1.pdf

 

※2文部科学省用語集

http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/10/04/1325048_3.pdf

 

※3生きる力 学びの、その先へ

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/02/14/1413516_001_1.pdf

 

※4新しい学習指導要領の考え方-中央教育審議会における議論から改訂そして実施へ-

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/__icsFiles/afieldfile/2017/09/28/1396716_1.pdf

 

※5新しい学習指導要領の考え方-中央教育審議会における議論から改訂そして実施へ-

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/__icsFiles/afieldfile/2017/09/28/1396716_1.pdf