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2019年09月09日

STEM教育から始まる未来。AI社会を生きる子どもたち

近年、アメリカを筆頭に、各国がこぞって教育カリキュラムに導入しているSTEM。このSTEM教育こそ、AI社会を生き抜くのに必要なスキルを養うものだと言われています。日本でも、いよいよ本格導入が始まるSTEM教育とは何でしょうか。また、今なぜSTEM教育がこれほど重視されているのでしょうか。さらに、「21世紀型の新しい教育」とも言われるSTEM教育を、日本に導入するにあたっての課題について解説します。

いよいよ日本でも本格導入! 話題のSTEM教育とは

STEMとは「科学(Science)・技術(Technology)・工学(Engineering)・数学(Mathematics)」の頭文字をとった言葉です。理数系を核とするこの4分野の学問を横断的に学ぶのがSTEM教育です。

 

さらにSTEMには、環境(environmental)を加えた「eSTEM(イーステム)」、芸術(Art)をプラスした「STEAM(スティーム)」、STAMAにロボット工学(Robotics)をプラスした「STREAM(ストリーム)」などのバリエーションも生まれています。女性のSTEM分野への進出を後押しするGirls in Engineering Math and Science、「GEMS(ジェムズ)」と呼ばれるプログラムも関心を集めており、すでに様々な国や機関で取り入れられているようです。

AI社会を生きる必須スキル? STEM教育がもたらすもの

これからのAI社会において、STEMで培われたITスキルが役立つことは言うまでもありません。最新科学技術を取り入れる企業は増え、グローバル化は進み、子どもたちがSTEM教育で身につけた理工系のスキルは、高い収入や企業利益をもたらすでしょう。さらには、世界における日本の優位性を保つことにも寄与すると期待されます。

 

しかしSTEM教育は、単なるプログラミングやITスキルを養うことが目的ではありません。子どもたちはまず、ものが成り立つ仕組み・動く原理を学びますが、STEM教育ではさらに、「学んだ知識をどう活用できるか」を考えます。プログラミングやロボットの組み立てを行いながら、直面する課題をどう解決すればよいか考え、突破できそうな方法を試行錯誤し、うまくいったり、時には失敗したりもしつつ、解決へとたどり着きます。

 

このプロセスこそがSTEM教育の本質と言えるでしょう。問題を科学的・論理的な手法で解決するための発想力、想像力、またコミュニケーション能力を養うことがSTEM教育の目的であり、この能力こそ、子どもたちがAI社会を生き抜くための最も大きな原動力になるでしょう。

今や国家戦略 ― 各国のSTEM教育はここまで来ている!

STEM教育を最初に大きく取り上げたのは、アメリカ合衆国です。アメリカの多くの小学校では、低学年からパソコンに触れ、早期からプログラミングの基礎を学びます。特にSTEM教育に熱心だったのはオバマ前大統領で、2016~2017年度には、約30~40億ドルもの莫大な予算をSTEM教育関連に投入しました。現在では予算は削減されてはいるものの、やはり国をあげてSTEM教育に取り組んでいます。(※1)

 

シンガポールもSTEM教育に力を入れている国のひとつです。数学や理科の授業が早期から行われ、国営のSTEM教育施設があり、一般の関心も高まっています。最近では、2023年までにすべての小中学校に最先端のSTEM教育プログラムを拡大するとの発表もありました。

 

インドでも2015年から、子どもたちが科学技術を学べるプロジェクトがスタート。中国でも、2017年から各都市の小学校でAIの普及に関する過程が導入され、プログラミング授業も必修化されつつあります。ちなみに、世界経済フォーラム(WEF)による、2016年にSTEM分野の学士号を取得した学生数ランキングのトップ3は、中国(470万人)、インド(260万人)、アメリカ(56.8万人)でした。(※2)

ようやく始まった日本のSTEM教育 ― 見えてくる課題も

海外での取り組みに比べると、日本のSTEM教育はやや遅れていると言わざるを得ません。先述のSTEM分野の学士号を取得した学生数ランキングでは、日本は第7位でした。(※2)

 

とはいえ、日本でもSTEM教育の機運は高まりつつあります。文部科学省によって学習指導要領の見直しが行われ、2020年度から小学校にプログラミング授業が導入されることが決定し、理数系にまたがる総合的な学習も行われる見込みです。今後、埼玉大学「STEM教育研究センター」や、2017年10月に発足した「日本STEM教育学会」などが中心となり、STEM教育は国内でもますます推進されていくことでしょう。

 

一方で、課題も浮上しています。限られた時間内にどのようにカリキュラムを組み込むか。STEMを効果的に教える人材を、どう確保・養成するか。さらに、プロセスを重視するSTEM教育において、子どもたちにどのような目標を持たせ、どう評価するか。単なるITスキル獲得で終わらせず、想像力や課題解決能力を養うという「STEM教育の本質」を教えるためには、これらの課題を早急に解決することが求められているのです。

 

(まとめ)

STEM教育は、単なるプログラマー育成手段ではありません。東京個別指導学院が運営するベネッセサイエンス教室に「STEMプログラミングコース」(※3)を設置していますが、重点を置いているのは、やはり論理的思考力や協働する力、プログラミング的思考力を養うことです。STEM教育は、AI社会を生き抜くために必要な、「未来を切り拓く力」を身につけるための非常に有効な手段となるでしょう。

 

参照資料

※1 北海道大学「オバマ政権以降における米国STEM 教育関連予算の変化」

https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/71119/1/03_shineha_25-36.pdf

 

※2 Forbs 2016年6月1日「STEM卒業生が最も多い国ランキング」

https://forbesjapan.com/articles/detail/16442

 

※3 ベネッセサイエンス教室 STEMプログラミングコース

https://benesse-kyoshitu.jp/science/stemprogramming/