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IRリリース

2022年04月20日

TCFD提言に基づく情報開示

東京個別指導学院は、TCFD提言に沿って、株式会社東京個別指導学院単体の事業を対象に、複数のシナリオを用いた気候変動リスクおよび機会の特定と、定性的・定量的な事業インパクト評価を実施しています。

TCFD提言への賛同

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東京個別指導学院は、企業理念において「笑顔あふれる『人の未来』に貢献する」を掲げています。気候変動は「人の未来」に深刻な影響を及ぼす地球規模の課題であるという認識のもと、気候変動への対応を、企業理念を実践する上での重要な取り組みの一つと捉えています。

 

東京個別指導学院は、金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の最終報告書(TCFD提言)への賛同を表明しています。2021年10月から、TCFD提言に沿って、株式会社東京個別指導学院単体の事業を対象に、複数のシナリオを用いた気候変動リスクおよび機会の特定と、定性的・定量的な事業インパクト評価を実施しています。

 

東京個別指導学院は、2050年を見据えた長期的な視点で予測される環境変化を考慮し、気候変動に対応することで、当社の持続的な成長と環境課題解決の両立を目指します。そして、教育事業を通じ、持続可能な未来をリードする人財を輩出することに尽力してまいります。

 

 

開示項目1「ガバナンス」

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東京個別指導学院では、気候変動関連のリスクや機会について、危機管理委員会にてリスクを特定しTCFD対応プロジェクトに連携しています。気候変動関連のリスクと機会の評価と管理はTCFD対応プロジェクトにて審議し、毎年取締役会へ報告する体制を構築しております。今後、当社サステナビリティ課題への対応と合わせてTCFDのガバナンス体制の強化を検討してまいります。

 

【気候変動に関するガバナンス体制】

 

 

【各会議体及び体制の役割】

 

 

 

開示項目2「戦略」

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●前提

・分析対象:株式会社東京個別指導学院 単体の全事業

・時間軸:短期:0-3年、中期:3-10年、長期:10-30年

・対象年:2030年及び2050年

 

時間軸について、短期は現在の中期経営計画「ホスピタリティ経営2023」の期間を想定し、中期は中長期ビジョンとして掲げた「VISION2030」の期間を想定しています。長期については2030年以降~2050年を想定しています。

 

対象年について、東京個別指導学院が中長期ビジョンとして掲げた「VISION2030」の到達年である2030年と、国際社会において温室効果ガス削減の長期目標のターゲットである2050年を設定しています。

 

 

●シナリオ分析の定義

シナリオ分析においては、国際エネルギー機関(IEA)などが公表するシナリオを参照しています。その上で、パリ協定の努力目標である全世界の平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えることを想定した「1.5℃シナリオ」と、新たな政策・制度が導入されず世界の温室効果ガス排出量が現在より増加する「4℃シナリオ」の2つの世界観を設定しています。

 

 

2030年代の世界観としては、「1.5℃シナリオ」の場合、炭素税導入による環境への意識の高まりから、環境教育と理系人材に対する教育コンテンツのニーズ向上の可能性が高まると想定しています。一方、「4℃シナリオ」の場合、物理的リスク(異常気象・感染症等)により、対面授業のニーズが減少しオンライン授業への移行が推進される可能性が高まると想定しています。

 

 

●リスクと機会の特定及び重要度評価

東京個別指導学院にとって、気候変動によって生じると考えられるリスクと機会をリストアップしました。次に、その重要度を、3つのセクター(取引先、自社、顧客)における影響の大きさから評価し、リスクと機会として特定しています。以下リストでは、重要度評価が、中~大の事業インパクトを記載しています。

 

〇重要度評価の定義

大:影響が非常に大きくなることが想定される

中:影響がやや大きくなることが想定される

小:影響が軽微であることが想定される

 

●リスク算定結果サマリー

算定可能性があり、気候変動と関係性を示すことができるリスク・機会を選択し、財務影響を算出しました。

 

*費用:-(マイナス)は「費用増加」、+(プラス)は「費用減少」を表します

*売上:+(プラス)は「売上増加」を表します

 

 

●シナリオ分析の結果(サマリー)

リスクと機会の特定と重要度評価、1.5℃シナリオ及び4℃シナリオに基づいた財務影響の算出の結果、以下3点の認識が得られました。

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◆リスクについて、特に1.5℃シナリオにおいては炭素税の導入やエネルギーミックスの変化による一定の財務影響が考えられるものの、当社事業全体に対する影響としては限定的です。

 

◆ただし、異常気象の激甚化に伴う局所的な洪水災害のリスクについて、各教室地域のハザードマップを参照しながら分析したところ、教室への物理的な被害の可能性がわずかながらでも存在する教室が特定されました。お客様や従業員の安全確保の観点から、個別に対応策の検討・実施が必要となります。

 

◆機会について、社会の脱炭素の加速に伴い、教育に求められる社会のニーズも変化することが予想されます。例えば、再生可能エネルギーの普及に伴って理系人材需要が拡大することが考えられ、ニーズを捉えた事業開発を行うことで、機会を創出できる可能性があります。

 

 

●今後の対応策について

〇災害の増加リスクに対する対応(物理リスク)

・ハザードマップに照らした新規教室開校地域の選定

・水害リスクがわずかながらでもある教室の移転の検討

・気候変動リスクを勘案した教室の災害時対策マニュアルの見直しと、災害時を想定した訓練の実施

 

〇政策・法規制の変更への対応(移行リスク)

・消費電力の少ないLED照明への切り替え

・太陽光発電など再生可能エネルギー由来の電気への切り替え検討

・プラスチックの価格コスト増を踏まえた備品の「脱プラ化」の検討

・気候変動含むESG情報開示の充実

 

〇教育ニーズの変化への対応(機会)

・理系人材育成需要と環境教育へのニーズの高まりに対応した教育サービスの検討

 

 

開示項目3「リスクマネジメント」

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東京個別指導学院は、当社を取り巻くさまざまなリスクに対応するため、平常時より危機管理委員会を設置し、各種リスク評価及びコントロールを行っています。危機管理委員会は、会社のリスク管理に関する事項を検討し、その結果を代表取締役に報告し、かつ、必要に応じて又は定期的(年1回)に取締役会、内部監査を担当する部門及び監査役会に報告し、具体的な対策の実施を各部門に指示しています。

 

気候変動関連のリスクについては、危機管理委員会にてリスクを特定しTCFD対応プロジェクトに連携しています。気候変動関連のリスクはTCFD対応プロジェクトにて審議し、毎年取締役会へ報告する体制を構築しております。

 

 

 

開示項目4「指標と目標」

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●CO2排出量(Scope1・2)の実績(2020年)

※時期:2020年4月~2021年3月

 

※範囲:株式会社東京個別指導学院の本社及び全事業拠点

※電力の温室効果ガス排出係数は電力会社別の調整後排出係数を使用。

※電力以外の温室効果ガス排出係数は環境省・経済産業省の「温室効果ガス・報告マニュアル」を参照。

 

Scope3の算定については、現在、対象範囲における各活動の整理とカテゴリーへの分類、集計方法・体制の整備などを進めています。

 

 

●CO2排出量削減に対する考え方と主な取り組み

東京個別指導学院は、学習塾を基幹事業としております。現在算定しているCO2排出量の96%が、学習塾の教室運営のための電力使用に由来しています(2020年実績)。当社が事業活動を通じて気候変動の緩和に貢献するためには、省エネ設備の導入による電力使用量の削減や、再生可能エネルギー由来の電気への切り替えが重要となります。

 

すでに当社では、省エネの取り組みとして、各教室におけるLED照明の導入を進めています。LED照明を導入した教室においては、導入前に比べ、1教室あたりの電力使用量を平均35%削減できるようになりました。再生可能エネルギー由来の電気への切り替えなどに向けては、テナントビルオーナー様への確認調査及びCO2排出量削減に向けた協議を進めてまいります。

 

今後、パリ協定が目指す脱炭素社会の実現に貢献するためには、CO2排出量削減への一層の取り組み強化が必要であると認識しています。当社は、当社の取り組みを推進するとともに、多様なステークホルダーと連携し気候変動への対応を進め、環境課題解決への貢献を目指します。そして、2050年実質排出ゼロの目標に向かって努力してまいります。

 

 

【参考】

TCFD提言への賛同及びTCFD提言に基づく情報開示に関するお知らせ

(2022年4月20日 IRリリース)