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2019年09月14日

【てら先生コラム】第19回:大学受験で入学前にかかる費用

教育業界に携わり30余年の「てら先生」による月1コラム。
今月は「大学受験で入学前にかかる費用」についてお届けします。

 2021年度入試には『大学入学共通テスト』の導入をはじめとした入試改革を控えており、過年度生に対する移行措置がとられない方針が示されていることもあり、安全志向の傾向がより強まっている2020年度入試です。少しでも確実に合格大学を確保していくためには、受験回数を増やすことが望ましいのですが、受験回数を増やせば、用意すべき受験料などの受験にかかる費用も増えてゆきます。

 

 子どもには希望する大学に進んだり、希望する進路で学んだりして欲しいというのが保護者の願いでしょう。

一方で、子どもの人生を左右する分岐点のひとつでもある大学進学のためには多くのお金が必要であることも現実です。

 

 今回は、大学を受験する際に「どのくらいの費用が必要なのか」「受験にかかる費用を抑えるにはどんな方法があるのか」をみていきたいと思います。

一般的な受験料はいくらなのか

 

 受験料は、大学入試センター試験の場合、3教科以上は18,000円、2教科までは12,000円(成績通知を希望する場合は、プラス800円)。*¹ 国公立大学の二次試験はおおよそ17,000円です。

 

 私立大の場合、受験料はおおよそ1校あたり35,000円ですが、医歯薬系統の場合は高額になる場合もあります。日本大学の場合、法学部は一般入学試験(A方式)で35,000円、一般入学試験(N方式第1期)は、18,000円*²なのに対して、医学部は一般入学試験(A方式)で60,000円、一般入学試験(N方式第1期)は、50,000円*³となります。

 

 また、早稲田大学法学部のように、一般入試で世界史B、日本史B、政治・経済を選択して受験する場合の受験料は35,000円なのに対して、数学を選択する場合の受験料は30,000円と、受験科目によって受験料が異なる大学もあります。*⁴

私立大学のセンター利用入試の受験料と注意点 

 

 私立大学のセンター試験利用入試は、一般入試に比べて受験料が安価な場合がほとんどで(大学入試センター試験自体の受験料とは別に)15,000円~20,000円の大学が多いようです。

 

 センター利用入試で注意することは、出願の締め切り日です。締め切り日がセンター試験(2020年度の場合2020年1月18~19日)の前か後かは重要なのです。多くの大学のセンター利用入試は、センター試験の前に出願を締め切りますが、この場合、センター試験結果を踏まえての出願ができません。そのため試験での成績が悪くても出願を取り消すことができないのです。これに対して、例えば南山大学では、センター利用入試の出願締め切り日は2020年1月27日ですので、センター試験の成績を確認した上で出願することができます。*⁵

 

 また、早稲田大学法学部や中央大学法学部(5教科型)もセンター試験後に出願が可能です。

各大学の入試要項から東京個別指導学院が作成

保護者が受験した時代にはなかった「併願割引」 

 

 保護者が大学受験をした時代には、年に1回の一般入試と指定校推薦入試の2種類しか実施しない大学が主流でしたが、近年では入試方式に公募制推薦入試や自己推薦入試・AO入試、センター利用入試が加わりました。しかも、私立大学が個別に実施する一般入試も多様化しています。*⁶ そのため、複数回数受験する場合には受験料を割り引く制度が広がっています。

 

 早稲田大学文学部では一般入試と一般入試〈英語4技能テスト利用型〉とセンター試験利用入試〈センター+一般方式〉を別々に受験した場合、95,000円ですが、同時に出願した場合は、75,000円と20,000円も安くなります。*⁷

中央大学は、統一入試出願者で、複数の出願をする場合、2つ目の出願から1つにつき35,000円が15,000円に減額される制度や、一般入試出願者で同一学部(法学部は同一学科)同一日に実施する英語外部検定試験利用入試、大学入試センター試験利用入試併用方式、大学入試センター試験利用入試単独方式(前期)を併願する場合、一般入試の受験料35,000円のみで受験できる減額制度があります。*⁸

 

 このように書いてもわかり難いということからか、中央大学では出願する試験の受験料の総額を確認できるサイトまで用意しています。*⁹

 

 また、日本大学では、A方式(第1・2期)とN方式(第1期)で、同一学部同一学科に同時出願をした場合は、N方式第1期の受験料(18,000円)が免除されます。*¹⁰

 

 各入試制度を併願する場合、このように一度にまとめて出願しない場合は、併願割引の扱いにならない大学が多いので注意が必要です。

第二志望制度

 

 学習院大学の法・経済・文学部のコア試験では、同じ学部の中で第二志望学科を選択しても、検定料は第一志望学科のみを受験した場合の受験料と変わらず35,000円です。*¹¹

 

 また、近畿大学では学部内併願方式や高得点科目重視方式など様々な併願方式を実施していますが、その併願方式は1併願方式につき7,000円の受験料の追加となっています。*¹² 

 

 このような私立大学だけではなく、国公立大学の中にも、第二志望制度をとっている大学・学部がありますので、進学したい大学に強い拘りがある場合は、第二志望制度があるかどうかを大学のHPなどで確認してみると良いでしょう。

受験料返金制度

 

 早い入試日程で合格を勝ち取れた場合は、後半日程の受験料が返還される大学もいくつかあります。複数の入試日程で受験してでも合格したい大学がある場合は、利用したい制度です。

 例えば、龍谷大学では一般入試〔A日程〕で合格した学部・学科・専攻に一般入試〔B日程〕やセンター試験利用入試〔中期募集〕も出願していて、一般入試〔B日程〕やセンター試験利用入試〔中期募集〕の大学独自試験を1科目も受験しなかった場合、申請により、受験しなかった入試日程の受験料を返還する制度があります。*¹³

◆保護者が見落としがちな「入学申込金」の納入

 

 子どもが実力を発揮して合格を勝ち取った場合にも、思わぬ出費がかさむことがあります。入学金(入学申込金)が必要になります。大学への入学手続き期限までに支払う費用は、大学によって、2つのパターンに大きく分かれます。

 

 1.入学金(入学申込金)のみ先に支払い入学する場合は大学の指定日までに授業料や設備費などの諸費用を支払う 

   2.入学金(入学申込金)と授業料や設備費などの諸費用を一括して支払い、入学しなかった場合は、

       申請により授業料や設備費などの諸費用を大学から返金してもらう 

 

 2のパターンの授業料や設備費などの諸費用は、入学しなかった場合、申請により原則返金されることになっています。しかし、1、2のパターンとも、一度支払った入学金(入学申込金)は返金されません。*²¹

 この入学金(入学申込金)は、複数の大学に合格した場合、その大学に入学する権利を維持するためには、第一志望ではない大学にも支払わなければならない場合があるのです。

 

 例えば上智大学文学部英文学科は入試日が2月5日、結果発表日は2月11日、入学手続き締め切り日は2月18日です。*¹⁴ 明治大学文学部英米文学専攻の全学部統一方式の入試日は同じく2月5日、結果発表日は2月12日、入学手続き締め切り日は2月28日です。*¹⁵ 早稲田大学文学部英文学科の入試日は2月17日で2月26日が結果発表日、入学手続き締め切り日は3月4日です。*¹⁶

 

 早稲田大学が第一志望で、第二志望の上智大学に合格している場合、早稲田大学の入試結果発表日(2月26日)よりも早い2月18日までに上智大学に入学金相当の入学申込金を納入しなければ入学する権利を失ってしまします。早稲田大学が第一志望で上智大学が第二志望で、上智大学に合格している場合は、上智大学の入学申込金の支払いをする受験生は多いでしょう。

 

 これに対して、早稲田大学が第一志望で、第二志望が明治大学で、同大学に合格している場合は、早稲田大学の入試結果発表日(2月26日)の方が、明治大学の入学手続き締め切り日( 2月28日)よりも早いので、早稲田大学の入試結果をみてから明治大学の入学手続きをするかどうかを決めることができます。

 

 このように併願校の選定のしかたで、志望順位の低い大学に「入学申込金」を支払う可能性を低くしたり無くしたりすることができるのです。

各大学の入試要項から東京個別指導学院が作成

 入学金は早慶上智GMARCH関関同立の中では*¹⁷ 関西大学が最も高額で260,000円。次いで、法政大学や中央大学の240,000円なのに対して、最も安価な青山学院大学でも160,000円かかり、200,000円の大学が主流です。この金額は一般的な私立大学の1回分の受験料(35,000円)の4~7回分に相当するので、軽視できない金額であると言えるでしょう。

 

 入学金は「入学する権利を得るための費用」であるため、一度支払ったら返金してもらえません。合格を勝ち取っても、手続きの問題で入学する権利を失ってしまったり、入学金を色々な大学に支払うことになってしまったりしないように、各大学の募集要項で合格発表日と入学手続き締め切り日を入念に確認する必要があるのです。

◆遠方の大学を受験する場合は、更に交通費・宿泊費がかかる

 

 遠方の大学を受験する場合、交通費や宿泊費も必要になります。保護者が受験に付き添う場合は、その分だけ費用が更にかかります。国公立大学の二次試験の場合は、試験が2日にわたることも少なくないため、前泊を含めて2泊する必要があることもあります。入学試験の時期には都市部の宿泊施設も混み合うので、宿泊費が予想よりも高騰する場合もあり、入試日程や受験校数によっては、相当な金額になることを覚悟する必要があります。例えば東京~新大阪の新幹線のぞみ普通車指定席は学割で片道12,700円ですから宿泊費を一泊10,000円とすると往復合計35,400円と一般的な私立大学の1回分の受験料に相当します。

 

 しかし、早期に受験予定を組むことができれば、交通機関と宿泊施設がセットになった旅行プランを申し込むことで、大幅に節約をすることができます。

地方入試

 

 近年では全国の優秀な受験生が受験可能になるように、「地方入試」を実施している大学・学部が多く見られます。「地方入試」とは、大学の所在地以外の地方で受験できる試験のことです。大学ごとに実施場所や日程が異なりますが、移動時間や体力の消耗や費用を抑えるためにも活用したい試験です。

 

 近畿大学や龍谷大学は、一般入試だけではなく公募推薦でも多くの都市で「地方入試」を行っています。*¹⁸ また、私立大だけではなく、国公立大学でも実施する大学が増えています。*¹⁹

 

 「地方入試」が最も活発に行われている私立大学。その一般入試では、明治大学・青山学院大学・中央大学・法政大学・関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学など多くの有名私立大学が地方入試を行っています。*²⁰ 但し、関西大学や関西学院大学のように入試方式によって地方入試を開催する都市数が異なる大学や、明治大学や青山学院大学のように一般入試の中で全学部日程のみ地方入試を行い、学部ごとの入試日程では地方入試を行わない大学もあります。また、青山学院大学は大阪では地方入試を実施しない、明治大学は福岡では地方入試を実施しない(北九州市では実施)など、大学によって開催都市は異なる点も注意が必要です。

保護者がやっておくべきこと

 

 本コラムの前半で、入試方式の多様化について触れました。年に1回のみ入試を行っていたような大学では、その年度の入試の合格者を一度の試験でまとめて決定していました。入試方式が多様化するということは、各入試回で合格者を少しずつ決めていくことになります。例えば6,000人の受験生の中から600人の合格者を1度の入試で決定してきた大学が、5回に分けて入試を行い、120人ずつ合格者を出すようになっているのです。そうすると、保護者が大学受験をした時代よりもどうしても受験回数は増えることになります。受験する大学数が保護者の受験した時代と同じであっても、1つの大学での入試方式が増加しているため、受験回数は増加しているのです。

 

 この入試方式の多様化により、どの大学・学部にはどんな入試方式や制度があるのかを大学のHPなどから調べておくことは保護者にとっても重要なのですが、是非、その際にお金の面からも検討することをお勧めします。ここまでみてきた通り、受験のしかたによって、同じ予算でも受験回数を増やすこともできますし、同じ受験回数でも受験にかかる費用を抑えることもできるのです。

 ですから、子どもが受験を希望している大学の、

  ・入試ごとの出願締め切り日

  ・入試日

  ・合格発表日

  ・入学手続き締め切り日

 の4つの日程、

  ・各受験方式の受験料

  ・割引制度や返還制度の有無と条件

  ・入学金(入学予約金)の金額

 などを一覧表にしてまとめておくことをお勧めします。

 

 子どもの受験日程を決めていくにあたって、学校の先生のアドバイスは重要だと思います。しかし、受験にかかる費用も含めてアドバイスしてくれる学校の先生は多くないように思います。ですから、子どもの受験にかかる費用について保護者自身が調べておくことはもちろんですが、学校の先生以外の相談先を確保しておくことも、保護者が事前に準備できることではないでしょうか。

 

 

 

*¹ 大学入試センター 

https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00036163.pdf&n=%E5%8F%97%E9%A8%93%E6%A1%88%E5%86%85_R2.pdf

 

*² 日本大学法学部 http://nulaw.jp/examination/schedule/entrance-examination-fee/

 

*³ 日本大学医学部 http://www.med.nihon-u.ac.jp/examinee/guidance.html

 

*⁴ 早稲田大学 https://www.waseda.jp/inst/admission/undergraduate/system/fees/

 

*⁵ 南山大学 http://www.nanzan-u.ac.jp/admission/nyushi/shubetsu/shuyo.html

  早稲田大学法学部 https://www.waseda.jp/folaw/law/applicants/admission/

    中央大学・明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学・関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学・西南学院大学 (ソース:マナビジョン) 

 ex)中央大学 https://manabi.benesse.ne.jp/daigaku/school/3275/nyushi/index.html

 

*⁶ 一般入試の多様化 https://www.tkg-jp.com/pickup/detail.html?id=2094

 

*⁷ 早稲田大学 https://www.waseda.jp/inst/admission/undergraduate/system/fees/

 

*⁸ 中央大学 https://www.chuo-u.ac.jp/admission/faculties/center/special_case/

 

*⁹ 中央大学 http://www2.chuo-u.ac.jp/nyushi/senkoryo.html

 

*¹⁰ 日本大学法学部 http://nulaw.jp/examination/schedule/entrance-examination-fee/

 

*¹¹ 学習院大学 https://www.univ.gakushuin.ac.jp/admissions/docs/general_all.pdf

 

*¹² 近畿大学 https://kindai.jp/exam/apply/fee.html

 

*¹³ 龍谷大学 受験料返還制度 https://www.ryukoku.ac.jp/news/detail/id6618/cms10.pdf

 

*¹⁴ 上智大学 https://www.sophia.ac.jp/jpn/admissions/gakubu_ad/itd24t00000046bt-att/2020ippan(gakkabetsu)shiken.pdf

 

*¹⁵ 明治大学 P5 https://www.meiji.ac.jp/koho/guidebook/6t5h7p00000fj1j2-att/databook_2020.pdf

 

*¹⁶ 早稲田大学 https://www.waseda.jp/inst/admission/undergraduate/system/general/

 

*¹⁷

早稲田大学 https://waseda.app.box.com/s/wuv16flcmntkfpu3p53x9qaxgiqquh7c

慶應義塾大学 2019年度 https://www.keio.ac.jp/ja/admissions/fees/

上智大学 https://www.sophia.ac.jp/jpn/studentlife/tuition/itd24t0000001whp-att/tuition_jpn.pdf

学習院大学 2019年度 https://www.gakushuin.ac.jp/ad/kaikei/pdf/h31nouf.pdf

明治大学 2019年度 https://www.meiji.ac.jp/suito/2019/nofu.html

青山学院大学 2019年度 https://cdn.aoyama.ac.2xx.jp/wp-content/uploads/2019/03/acc_gakuhi_gakubu2019.pdf

立教大学 2019年度 https://www.rikkyo.ac.jp/admissions/fees/qo9edr00000066v7-att/academic_fees_2019undergraduate.pdf

中央大学 https://www.chuo-u.ac.jp/admission/fees/faculties/new_student/

法政大学 2019年度 http://www.hosei.ac.jp/campuslife/gakuhi/gakubu.html

関西大学 https://www.nyusi.kansai-u.ac.jp/campuslife/expenses.html

関西学院大学 2019年度 https://www.kwansei.ac.jp/university/university_018180.html

同志社大学 https://www.doshisha.ac.jp/admissions_undergrad/info/procedure/payment.html

立命館大学 http://ritsnet.ritsumei.jp/fee/cost.html

 

*¹⁸ 

近畿大学 公募推薦 https://kindai.jp/exam/system/suisen/

龍谷大学 公募推薦 https://www.ryukoku.ac.jp/admission/nyushi/pdf/2020_guide_01.pdf

 

*¹⁹ 例えば、三重大学生物資源学部では大阪会場で受験ができます

http://www.mie-u.ac.jp/exam/faculty/schedule/index.html

 

*²⁰ 

明治大学 https://www.meiji.ac.jp/koho/guidebook/6t5h7p00000fj1j2-att/databook_2020.pdf

青山学院大学 P2 https://www.aoyama.ac.jp/wp-content/uploads/2019/06/ad_dg2020_all_20190614_Wk8LN.pdf

中央大学 https://www.chuo-u.ac.jp/admission/faculties/center/place/

法政大学 P3-P4 https://edu.career-tasu.jp/p/digital_pamph/frame.aspx?id=3942400-2-1

関西大学 https://www.nyusi.kansai-u.ac.jp/admission/map.html

関西学院大学 P4 https://frompage.pluginfree.com/weblish/frompage/4754199481/index.shtml?rep=1html

同志社大学 https://www.doshisha.ac.jp/admissions_undergrad/new/general/application_guidebook.html

立命館大学 http://ritsnet.ritsumei.jp/admission/general/schedule.html

 

*²¹[平成18年11月27日 最高裁第二小法廷 平17(受)1158号 不当利得返還請求事件]https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoryu/gojokai/pdf/001_s02_01.pdf

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~【てら先生】プロフィール~

教育業界に携わり30余年。
何千人もの子どもたち・保護者に学習・進路相談を行う。
現在は株式会社東京個別指導学院 進路指導センター 個別指導総合研究所にて同学院のブレインとして活動。
文部科学省・各学校に足を運び、様々な情報を収集し教室現場への発信・教育を行っている。