FEATURES東京個別チャンネル

FEATURES一覧に戻る

2020年01月14日

南極から佐渡島2島分の氷山が分離!地球温暖化を生き抜く子どもたち

近年、地球温暖化による深刻な被害が世界各国で報じられています。温暖化への対策がいよいよ待ったなしの状況にあるなか、世界や日本ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。地球温暖化の原因や現状、今後の取り組みや対策などとあわせて解説します。

地球を取り巻く環境激変! 地球温暖化の原因は「人」

「まるで空気のような」という言い回しがあるほど、空気つまり大気は私たちにとって当たり前の存在です。しかし、その働きは決して「当たり前」のものではありません。

 

大気には何種類もの気体が生き物の呼吸に適したバランスで含まれていますが、その中に「温室効果ガス」と呼ばれる気体があります。二酸化炭素やメタン、フロンといった気体がこれにあたります。これらの気体には地表の熱を吸収することで大気圏外へと熱が逃げるのを防ぎ地球を温めるという重要な働きがあります。もしこのガスがなければ、地球はあっという間に生き物が住めない冷え切った星になってしまいます。

 

ところが、産業革命によって石油や石炭が大量に消費されるようになると、それに伴って二酸化炭素の排出量が急増。近年では、二酸化炭素よりはるかに温室効果の高いメタンやフロンの排出量も増加しました。さらに森林破壊によっても二酸化炭素の排出量が増え、その結果、温室効果ガスの濃度が上昇しています。その量はすでに自然が吸収できるレベルを超えており、これが地球温暖化の原因であると考えられています。

ますます深刻に…世界各国で見られる温暖化による影響

こうした温室効果ガスの濃度上昇により、地球はどのような影響を受けているのでしょうか。環境省の資料によると「1898年から2013年までの期間において、平均気温が100年当たり1.14℃上昇」しました。たいした数字ではないと思われるかもしれませんが、すでにさまざまな変化が現れています(※1)。

 

同資料によると、2003年夏にヨーロッパは5万人もの死者を出すほどの異常な猛暑に襲われ、2006年から2007年の冬は北半球のほぼすべての地域で暖冬になりました。熱帯の海面水温の上昇により強いハリケーンや大雨が発生する頻度は高くなり、海水の膨張や氷床の融解による海面上昇も顕著です。2019年9月には、佐渡島の2倍近い氷山の分離が話題になりました。幸い、この分離は温暖化とは無関係であることがわかったものの、南極の氷は加速度的に減り続けています。それによってペンギンやホッキョクグマなどの生態系は大きな影響を受け、漁業や農林業の被害も深刻化しています。

 

今の状況が続けば、今世紀末には平均気温が約4℃上昇する可能性があるとみられています。そうなると、水不足や食糧不足によってさらに多くの命が失われることになるでしょう。

待ったなし! 地球温暖化を食い止めるための各国の取り組み

地球温暖化対策は世界中の国が協力して行うべき課題であり、そのための様々な国際条約が結ばれています。1997年に採択された「京都議定書」は、初めて国際的に数値目標を設定して、二酸化炭素の排出量削減を法的に義務付けたものとして注目を集めました。また2015年には「パリ協定」も成立。世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃以内に抑える努力をすることや、21世紀後半には温室効果ガスの排出量と森林などによる吸収量のバランスをとることが目標として定められました。

 

具体的な取り組みも進んでおり、なかでもドイツやイギリスでは国家的なプログラムとして温暖化対策が進められ、水素エネルギーや電気自動車、バイオ燃料などの研究・開発がさかんです。途上国に対しては、技術的支援を行うことで温暖化を食い止めようとする取り組みが実施されていますし、温室効果ガスの排出量を取引することで、削減目標をクリアしようという考え方も着目されています。

地球温暖化対策は身近なところから。今日から私たちができること

もちろん日本でも、地球温暖化対策は喫緊の課題です。日本が国際的にコミットする 2020 年度の温室効果ガス削減目標は、2005 年度比で3.8%減(※2)。この目標をクリアするために、政府は新エネルギーの開発・導入などの施策を展開し、各メーカーは省エネ家電や低燃費車・ハイブリッド車などを開発してきました。

 

教育の場でも、エコについて考える取り組みは進んでいます。例えば、子どもたちが環境問題を自ら考え、子どもの視点からライフスタイルを見直すことを目的にした「こどもエコライフチャレンジ」は、京都市立の小学校で全校実施されていますし(※3)、太陽光発電設備や屋上緑化システムを取り入れるなど環境を考慮した21世紀型の「エコスクール」づくりの波も広がっています(※4)。

 

個人的に行えるエコ活動も少なくありません。無駄な電気を使わない、節水を心がける、エコバッグを使うといった活動自体は、全体からみるとさほど大きな温室効果ガス削減効果はないかもしれません。しかしこうした家庭でできるエコ活動は未来を担う子どもたちの環境への意識を高め、将来的に地球温暖化対策を後押しする力となるに違いありません。

まとめ

地球温暖化対策は、現状とその影響を考えると、私たちが今、最優先に考えるべき問題だと言えます。テレビやインターネットで、環境に関するニュースを目にする機会も多いなか、私たちの未来を守るために自分に何ができるかを考え、実行する機会をつくっていきたいものです。

 

関連記事

※1 「令和元年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」

環境省 (2019/6/7)

https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r01/index.html

 

※2 「2020年に向けた我が国の新たな温室効果ガス排出削減目標」

環境省

https://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg/ert2020.html

 

※3 「こどもエコライフチャレンジ」

京都市 (2018/8/2)

https://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/page/0000050243.html

 

※4 「環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備推進」

文部科学省

http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/ecoschool/detail/1301216.htm

 

関連記事

学習指導要領に盛り込まれる予定の「ESD」とは?

https://www.tkg-jp.com/tkg_movie/detail.html?id=2906

 

2030年までに達成すべき開発目標「SDGs」とは? 持続可能な未来を目指して

https://www.tkg-jp.com/tkg_movie/detail.html?id=2686